夢のみずうみ村 / 浦安デイサービスセンター
先日、「 夢のみずうみ村 浦安デイサービスセンター 」 さんの見学に行ってきました。
生活リハビリに特化したデイサービスとして全国的にも有名な施設であり、その徹底した取り組みの成果は、要介護度5の方が2に改善するなど、実に利用者様の8割近くで要介護度の改善が認められております。
それらは全て利用者様が自発的に生活リハビリに取り組んだ結果であり、スタッフが直接リハビリを行っている訳ではありません。
ここの特徴でもある 「 自己選択方式 」 のプログラムに秘密があります。
朝、デイサービスに訪れた利用者様は、その日一日の予定を自分で組みます。
多くの福祉施設にあるような、歌を歌ったりゲームをしたり、 つまり 「 全員同時にレクリエーションを行う 」 というようなものは一切ありません。
沢山の選択肢の中から、その日どう過ごしたいかを、お一人お一人が選択できるようになっています。
加えて館内は自由に行動できます。杖歩行の方も、歩行器の方も、車いすの方も、好きな場所に自由に移動して構いません。
通常の福祉施設であれば、安全のためまず転倒リスクの排除を考えます。歩行に不安のある利用者様が立ち上がろうとすれば、すぐに介護員が駆け寄り、「 危ないから座ってて下さいね。 」 と着席を促しますが、ここではそういう声かけはしません。
その人に挑戦する気持ちがあれば、自分で階段を上がっても構いません。
足を上げる、動く、という事を徹底的に行う事で、立てなかった人は立ち上がり、歩けなかった人が一歩を踏み出す、ようになっていきます。
選択プログラムの中には 「 何もしない 」 という選択肢もあります。
好きな場所に座って読書をしたり、ぼーっと周りを眺めて過ごす、という事も可能です。
館内には 「 健康トリム 」 と呼ばれる、体を動かす、頭を使う、というリハビリ道具が多数あります。
これは棒を持って、迷路のような道に沿ってゴールまで棒の先端を誘導するトリムで、腕を高く上げたりする仕掛けがあるなど、体を動かす工夫が凝らされています。
実はこの施設には 「 施設内通貨ユーメ 」 があり、健康トリムを実施すると獲得できるようになっています。
利用最初に7,000ユーメがもらえる仕組みになっていますが、コーヒーを飲んだり、好きな教室で学んだりするプログラムを選択した場合には、その都度ユーメを支払わなければなりません。
3ヶ月もするとユーメは底を突き、コーヒー1杯飲む事もできなくなります。
そうなったらユーメを何とかして入手しなければなりません。
この館内にある健康トリムを実施すれば 「 ユーメを稼ぐ 」 ことができ、マッサージチェアや温水プールなどの楽しい設備をまた使えるようになります。
結果、毎日コツコツとユーメを稼ぐ事によって、リハビリが促進されるという仕組みです。
国旗のデザインを見て国名を当てるトリム。
これは、めくると答えが書いてあります。わざと低い位置にあったりするのは、しゃがんだり立ち上がったりの動作をさせるためです。
このような健康トリムは館内に何百と設置され、利用者様はトリムを実施した後に、そのカードを持ってスタッフに申告し、ユーメをもらいます。
このとき、「 自分が何のトリムをいくつ実施したか 」 を記憶していないと、ユーメをもらいはぐれて損をしてしまいます。つまりここでもまた脳を使わせられる仕掛けがある訳です。
してもいないトリムを申告するようなズルは誰もしません。
トリムをする事は自分の体を鍛えるためであり、それによって自分の生活が介護を必要としないようになっていく事を、皆さん知っているからです。
パン教室もあります。利用するにはユーメが必要です。
料理教室もあります。ユーメがないと参加できません。
パソコン教室。やはりユーメがないと利用できません。
操作説明のテキストを見るにも別途ユーメが必要という徹底ぶりです。
人気の高い歩くプール。1回100ユーメが必要です。
またこの施設の特に有名な仕組みは食事のシステム。
自分で食べたいものを食べたいだけ取るバイキング方式です。
片麻痺の方は動く方の手を使って料理を取り、スタッフは手を貸しません。ただし、届かない場所の調味料を近くまで持ってきてあげたりなどの手助けは行います。
「 できる事は自分でしてもらう 」 「 できない部分だけをサポートする 」 引き算の介護。
席に座る場合も、その場所まで押し車を使ったりして自分で運びます。転倒の危険のある方は後ろから見守りでついていったりして安全は守られています。
このように、ここでは全てが自分で行う事が原則になっています。
入浴などもいくら時間がかかっても自分で着替えをしてもらいます。そのため脱衣室には休むためのイスがあったり、テレビがあったり、まるで温泉施設の脱衣所と同じです。
ちなみにスタッフ1人で3~4人同時に入浴介助を行うそうです。
全ての福祉施設がこうあるべきだとは思いません。
全ての要介護者様が介護を必要としなくなっていくのは理想ではあります。しかし社会には様々な理由で体を動かせない要介護者様もまた多くおられるからです。
認知症、病気、障がい、心のケア。大切な事は、自分が希望するもの、自分に合った形態の福祉施設を 「 選べる 」 ような福祉社会になる事だと考えます。
わたしたちのホームはデイサービスだけではありませんので、同じような取り組みは人員的にも難しい面があります。
ですが取り入れられる事から一歩一歩、リハビリの要素も導入してみたいと考えています。
まずは最初のトリムとして、難しい植物の名前を当てるトリムを手作りで設置してみました。
めくると、答えと植物の簡単な説明があります。
利用者様それぞれに合わせて高さの違う場所に設置。
手を上げてめくる、しゃがんでめくる、などの動作を引き出します。
さっそく興味を持って頂けたようです
少しずつ、楽しみながら役に立つ物を増やして行こうと思います。
998-0053
山形県酒田市若宮町二丁目2-29
TEL 0234-41-2556
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